災害時に欠かせない備えとして、もっとも重要なのは「飲料水」です。一般的に、水と睡眠が取れれば、2~3週間は命をつなぐことができるとされています。そのため、被災時の生活を過ごすうえで十分な水を確保することはとても大切なことだといえるでしょう。
この記事では、災害時に必要な水の量から備蓄方法、保存時のポイントまで徹底解説します。万が一のときに備えて、水の備蓄をしたいと考えている人は、ぜひ参考にしてみてください。
●災害時に必要な水の量とは?
災害時に必要な水の量には、以下の2つが挙げられます。
・飲料水は1人あたり「3L」が必要
・生活用水は1人あたり「10~20L」が必要
水は飲むだけではなく、生活のあらゆるシーンで使用します。とくに、避難生活時には命をつなぐだけではなく、ストレスの緩和や衛生的な環境を整えるためにも欠かせません。ここではそれぞれに分けて解説しますので、詳しく見ていきましょう。
●飲料水は1人あたり「3L」が必要
万が一の災害時に備えておくべき飲料水の量は、1日につき「1人あたり3L程度」が必要です。
農林水産省が公表している「緊急時に備えた家庭用食料品備蓄ガイド」を見てみると、飲み水は1人あたり1日1Lを目安としており、ほかにも、調理などで使用する水を含めて3Lほど備えておくことを推奨しています。
また、災害時の備えとしては「最低でも3日分の備蓄」をしておくと安心です。そのため、1人あたり9Lの水を用意しておくとよいでしょう。
参考:災害時に備えた食品ストックガイド:農林水産省
https://www.maff.go.jp/j/zyukyu/foodstock/guidebook.html
●生活用水は1人あたり「10~20L」が必要
飲み水以外にも手洗いやトイレ、食器類を洗うときに使用する生活用水は、1日につき1人あたり10~20Lの準備が必要とされています。
10~20Lの生活用水は、最低限の生活水準を維持するために欠かせない量です。大規模災害が発生した場合、生活用水の給水は発生時点から1週間~10日程度の時間がかかるとされているため、生活用水をすぐに確保できるとは限りません。
そのため、飲料水とは別に生活用水を備えておく必要があります。家族の人数にもよりますが、最低でも3日分(1人あたり30~60L)の生活用水を確保しておきましょう。
●衛生・風呂用に必要な水の量
普段意識することはあまりないかもしれませんが、手洗いや歯磨き、体を拭くにも水が必要です。
しかし、衛生・風呂用に使う水は生存に欠かせないものとはいえないため、飲料水と比較した場合の優先度は下がります。そのため、一般的に備蓄する水として含まれることはあまりありません。
また、被災時に1回100L以上のお湯を使うお風呂の水を備蓄しておくことは現実的だとはいえないでしょう。衛生関連の備蓄としては、浴槽に水を張っておく・ポリボトルなどに貯めておくことなどが挙げられます。
●トイレ用に必要な水の量
トイレを流すのに必要な水の量は、1回あたり約10Lが必要です。たとえば、3日間トイレを流すために必要な水を家族の人数分備蓄しようとするのは、現実的とはいえません。
さらに、断水状態にある場合は水道管が破損しているおそれもあるため、基本的に水を流すことは避けた方がよいでしょう。そのため、災害に備えるのはトイレを流すための水ではなく、携帯用トイレを必要分ストックしておくことがおすすめです。
●ペットに必要な水の量
ペットが1日に飲む水の量は、その日の気温や食事に含まれる水分量によって異なるものの、犬は「体重1㎏あたり50~60ml」、猫はその半分の「体重1㎏あたり25~30ml」といわれています。
この値から逆算して、少なくとも5日程度の水を用意しておく必要があります。 また、1週間分あると安心です。
ただし、人間用のミネラルウォーターには多くの「カルシウム」や「マグネシウム」などのミネラルが含まれています。多くのミネラルはペットの健康を害すこともあるため、ミネラル含有量が低いミネラルウォーターやミネラルゼロのミネラルウォーターをおすすめします。
●災害時のために水を備蓄する6つの方法
災害時のために水を備蓄する方法には、以下の6つが挙げられます。
1.ペットボトル水で保存する
2.ウォーターサーバーで保存する
3.防災用ウォータータンクで保存する
4.お風呂の浴槽で保存する
5.エコキュートで保存する
6.トランクルームで保存する
ここではそれぞれに分けて解説しますので、詳しく見ていきましょう。
1.ペットボトル水で保存する
ペットボトル水で保存すると、小分けにして常温でも備蓄できることや賞味期限が明確な点が特徴です。また、500ml・2Lなど1本あたりの容量が一目でわかるため、備蓄している量を把握しやすいこともメリットだといえるでしょう。
さらに、被災時にもキャップを開けるだけで飲むことができることも魅力です。注意点としては、緊急時の持ち運びが難しいため、運搬用の持ち手やキャリーカートを準備しておくことをおすすめします。
2.ウォーターサーバーで保存する
ウォーターサーバーを導入して水を備えておく方法もあります。定期的に自宅へ水が配送されるため、自分で買い足す必要がなく、簡単に水を備蓄できるでしょう。
また、電気が使える状態であれば災害時でもお湯を使うこともできます。そのため、万が一に備えながら、日常生活をより快適にしてくれるでしょう。
注意点としては、ほかの備蓄方法よりも費用がかかる点が挙げられます。水代やサーバーレンタル料、電気代などがかかります。さらに、ウォーターサーバー本体を設置する場所とストックボトルを保管するスペースも必要です。
3.防災用ウォータータンクで保存する
防災用ウォータータンクで水を保存するのも災害時の備えになります。防災用ウォータータンクは、一度に大容量の水を備蓄できることがメリットです。
デメリットとしては、大容量・ハードタイプのタンクは保管スペースが必要となる点や持ち運びが難しいことが挙げられます。そのため、ウォータータンクを使用した水の備蓄には、保管スペースの広さ・備蓄する水の量に合わせたサイズを選ぶことが重要です。
また、長期的に水を保管しておくと、タンクの劣化やひび割れするリスクがあります。災害時でも使えるよう定期的な点検を心がけ、必要に応じて交換してください。
4.お風呂の浴槽で保存する
お風呂の浴槽は、住宅の中でもっとも大量の水を保存できる場所です。毎日お風呂にお湯を張る前に前日の水を流すようにすると、常時150~200Lの生活用水を確保できます。
しかし、衛生面が気になる人は毎日でなくとも、台風など予測できる災害のときだけ貯めておくのも一つの手段です。また、浴槽で水を保存する際、必ず蓋を閉めるようにしてください。
蓋を閉めなければカビやホコリが入りやすくなるだけではなく、地震が発生したときに水が溢れ出てしまうおそれがあります。
5.エコキュートで保存する
自宅に「エコキュート」を設置している場合、タンクに貯まっているお湯や水を生活用水として備えていることになります。一般的に使われているエコキュートには、約370Lのお湯や水が貯められており、意識しなくても生活用水を保存している状態だといえるでしょう。
また、エコキュートはお湯を沸かすために使う電気が少ない省エネ機器です。太陽光発電と併せて設置すると、災害時の対策となるだけではなく、経済的にもなります。
6.トランクルームで保存する
水を備蓄するスペースを確保が難しい場合には、トランクルームを借りて保存するのも一つの手段です。生活スペースを圧迫することなく水を備蓄できるだけでなく、自宅が被災したときでも保存しておいたものを取り出せることもメリットだといえるでしょう。
水以外にも、備蓄食料や防災用品などをまとめて保管できることも魅力です。また、自宅以外で被災した場合に、トランクルームを集合場所にしておくこともできます。
●災害時のために備蓄した水を保存する際の6つのポイント
災害時のために備蓄した水を保存する際のポイントには、以下の6つが挙げられます。
ポイント1.保管場所を分散する
ポイント2.直射日光を避ける
ポイント3.定期的に賞味期限を確認する
ポイント4.ローリングストック法で備蓄する
ポイント5.家族構成に合わせる
ポイント6.最低3日分の水を確保しておく
ここではそれぞれに分けて解説しますので、詳しく見ていきましょう。
ポイント1.保管場所を分散する
被災時は、建物の倒壊や家具が横倒しになることなどから、保管した備蓄品が取り出せないおそれがあります。万が一、そのような状況になったとしても備蓄品を取り出せるように保管場所を分散させておくようにしましょう。
家の中で備蓄品を保管するのに適しているのは玄関周辺です。玄関には出入り口と靴があり、倒壊していない限り、避難時には必ず通ります。
また、玄関周辺と併せてキッチンや寝室などに分散しておくことで、備蓄品をいずれの場所から持ち出すことができるでしょう。
ポイント2.直射日光を避ける
水を備蓄する場合、直射日光があたる場所を避けるようにしましょう。温度変化による品質劣化を防ぐこともありますが、収れん火災を予防することにもつながります。
収れん火災とは、レンズ状の透明な物体などに太陽光が集まることによって、起こる火災です。品質維持と火災防止の観点から、直射日光を避けられる冷暗所に水を備蓄するようにしましょう。
ポイント3.定期的に賞味期限を確認する
定期的に水の賞味期限を確認しておくことも大切です。賞味期限が少し過ぎたくらいでは、品質が大きく劣化することはあまりありません。しかし、被災したときに「備えていた水の賞味期限が過ぎていた」というような事態は避けたいものです。
定期的に賞味期限を確認し、期限が近い水から使うようにしましょう。また、使用した分を補充するように心がけると無駄にすることなく備蓄できます。
ポイント4.ローリングストック法で備蓄する
ローリングストック法は、災害時に備えて常に水や食料を買い置きして、消費量に応じて補充する備蓄方法です。
つまり、一定量の水や食料を普段の生活で消費しながら備蓄することとなり、古いものから順番に消費し、減った分を補充することで備蓄量を確保します。水や食料の鮮度を維持しながら、食品ロスを防ぐことが可能です。
ポイント5.家族構成に合わせる
家族構成に合った備蓄量になっているかは、とても大切な確認項目です。たとえば、飲料水を備蓄する場合の必要量は「1人あたり1日3L」が目安となり、5人家族が確保すべき飲料水は45Lと計算できます。
しかし、15Lしか備蓄していなければ、1日分の必要量しか補うことができません。このような事態を避けるためには、備蓄量が家族構成と合っているか確認しながら、必要な分を確保するように心がけましょう。
ポイント6.最低3日分の水を確保しておく
最低でも3日分の水と食料品を確保することは、とても重要です。災害時には、電気や水道、ガスなどのライフラインが使用できないことが想定されます。
飲み水を確保できないうえに、火を使えなければ食事を作ることもできません。また、水と食料を備蓄していたとしても、3日分を確保できていなければ、災害用品の到着やライフラインの復旧まで食いつなぐことが難しくなります。
可能であれば、ゆとりを持って1週間程度の水を備蓄できていれば、より安心感が高まるでしょう。
●水以外で災害時に備えておきたい6つのアイテム
水以外で災害時に備えておきたいアイテムには、以下の6つが挙げられます。
1.非常持ち出し品
2.備蓄食料や非常食
3.充電グッズ
4.給水袋
5.ポリタンク型浄水器
6.ポリ袋
ここではそれぞれに分けて解説しますので、詳しく見ていきましょう。
1.非常持ち出し品
災害時の備えとして必ず用意しておきたいものとして、非常持ち出し品が挙げられます。
非常持ち出し品には2つの種類があり、避難時の「一次持ち出し品」と、避難先・自宅避難の生活時に利用する「二次持ち出し品」があります。
それぞれの内容品の例としては、以下のようなものを準備しておくとよいでしょう。
【一次持ち出し品】
・貴重品:印鑑・現金・貯金通帳やカードなど
・救命グッズ:救急箱・手袋・ヘルメット・防災頭巾・毛布など
・その他:食料・水・懐中電灯・ラジオ・タオル・ライターなど
【二次持ち出し品(3日~1週間程度分)】
・食料と飲料水
・洋服や下着などの衣類
・防寒グッズ
・衛生用品
・調理道具
2.備蓄食料や非常食
飲料水と同じく、避難生活で大切なものとなるのが食料です。備蓄食料や非常食には、レトルト食品や缶詰、アルファ米など、あらゆる種類のものがあります。最低でも3日分の備蓄食料を家族構成に合わせて準備しておきましょう。
避難生活は大きなストレスを抱えてしまうことが予想されます。そんなときに温かい食事や好きな飲み物があると、ストレスを軽減する効果も期待できるでしょう。
3.充電グッズ
停電時の備えとして、モバイルバッテリーや大容量ポータブル電源、乾電池を備蓄しておきましょう。
最近では、15万円程度で購入できるポータブル電源が普及しています。主に、アウトドアや車中泊で使用することを目的として販売されていますが、非常時の備えとしても最適です。
このときには、一般家電を使える「正弦波」タイプのものを選ぶと避難生活でも普段と同じように過ごせるでしょう。それ以外にも、USBケーブルやコンセントなどの予備を準備しておくと安心です。
4.給水袋
給水袋は、断水時に水を持ち運ぶときに使う容器です。使わないときはコンパクトに折りたたみが可能となっており、ハンドルがついているタイプ以外にも、リュックサックのように背負えるものも販売されています。
自宅に大きいポリタンクを保管するスペースがない場合でも収納しやすく、万が一のときにも非常に役立つでしょう。
5.ポリタンク型浄水器
ポリタンク型浄水器は、高性能フィルターが備えられたアイテムです。病原菌やバクテリア、ホコリなどを除去し、安心して使える水に変えてくれます。
水は、時間経過や使用環境の影響によって細菌が繁殖しますが、ポリタンク型浄水器があれば発生した細菌をすべて除去することが可能です。注意点としては、定期的にフィルター交換が必要となることが挙げられます。万が一の場合に備えて、フィルターの交換・管理を忘れずに行いましょう。
6.ポリ袋
普段、ゴミを捨てるために使うポリ袋は、災害時にとても役立つアイテムです。とくに30~45Lサイズのポリ袋は、簡易トイレやレインコート、バケツとして使えます。それぞれの使い方は以下のとおりです。
【簡易トイレ】
1.便座を上げて、広げたポリ袋を1枚かぶせてセットする
2.便座を下ろす
3.便座の上からもう1枚ポリ袋をかぶる
4.新聞紙をちぎって乗せる
5.用を足す
6.ポリ袋を縛って処理する
参考:非常時に家にあるものでできる!簡易トイレの作り方
https://www.bosai.yomiuri.co.jp/article/80
【簡易レインコート】
ポリ袋の長辺を切り開く
頭からかぶる
端の一部を切って、前で結ぶ
【簡易バケツ】
1.段ボールにポリ袋をかぶせる
2.水漏れを防ぐためにもう1枚かぶせる
3.水を入れる
ほかにも、簡易手袋として使ったり、食器を中に入れて汚れを防いだりとあらゆる用途にポリ袋は役立ちます。そのため、大小さまざまなサイズのものを備えておくようにするとよいでしょう。
●まとめ
災害時に必要な水の量や備蓄方法、保存時のポイントについて解説しました。災害備蓄として水を保存する場合「1人1日3L」を目安に備えておくと安心です。また、水を保管する場合は、賞味期限や保存環境を整えることが重要です。
ほかにも、災害時の備えとして、食料品や非常用持ち出し袋を常日頃から定期的に管理することも大切なことだといえます。
食料品はローリングストック法を活用すると、食品ロスを防ぎながら災害時に備えられるでしょう。非常用持ち出し袋も内容品や必要量をこまめに管理することで、いざというときに慌てずに済みます。
さらに、水の備えとして記事で紹介したペットボトルでの保存以外にも、適したものがあります。それは空気から水を作り出す次世代のウォーターサーバー「エアリス」です。
空気から安心して飲める水を生成する「エアリス」は、空気中の水分を最新のろ過機能を使い、電気があれば災害時でも水を確保できます。
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